ロロ・ジョングラン寺院 (Candi Lolo Jonggrang)

2006年5月27日午前5時54分に発生したジャワ島中部地震(マグニチュード6.4)で被災し、甚大な被害を受けた。地震後は修復作業が行われているが、2009年4月現在まだ完了していない。ロロ・ジョグラン寺院はナンディ堂、ガルーダ堂が公開されているが、他は金網塀で囲まれ、近づくことが出来ない状態である。

220m×220mの境内の中、崩壊したままの多くの小祠堂(プルワラ)が囲み、その中に110m×110mの内苑がある。

内苑内には南北2列に三つの大尖塔(ヴィシュヌ神殿、シヴァ 神殿、ブラフマー 神殿)と、小形の尖塔三つ(ガルーダ堂、ナンディ堂、ハンサ堂)の計6棟が並んでいます。
南北側の塀近くには用途不明で1辺6m、高さ16mの小堂チャンディ・アピットが建っています。
塀の四隅と各辺中央にはそれぞれ1辺1.55mで高さ4.1mのチャンディ・スドゥ(sudut=隅の意味)とチャンディ・クリル(kelir=目隠しの意味)が建っています。
合計16棟のチャンディが内苑に建ち、ヒンドゥー教の三神一体を顕した一大複合体をなしています。


三神一体 (トリムルティ Trimurti
ヒンドゥー教において3人の神、ヴィシュヌ、シヴァ、ブラフマーが本来は1体であるとする近世以降の考え方。
(1人の神が3つの役割に応じて、3人の神として現れるという。創造=ブラフマー、繁栄=ヴィシュヌ、破壊=シヴァ)

ブラフマー (Brahma)=創造神

三神一体論では、三最高神の一人で、世界の創造と次の破壊の後の再創造を担当している。ヒンドゥー教の教典にのっとって苦行を行ったものにはブラフマーが恩恵を与える。4つのヴェーダを象徴する4つの顔と4本の腕を持ち、水鳥ハンサに乗った老人の姿で表される。手にはそれぞれ 数珠、聖典ヴェーダ、小壷、笏を持つ。 配偶神は知恵と学問の女神サラスヴァティー(弁才天)。


ヴィシュヌ (Visunu )=維持神
本来は太陽神で、『リグ・ヴェーダ』では単に太陽を神格化したものに過ぎず、重要な神ではなかったが、のちに次第に信仰を集め、シヴァと並ぶヒンドゥー教の最も重要な神になった。 特に貴族階級に崇拝された。
宇宙の維持発展を司る。乱れた秩序を回復するため、たびたび変身して地上に姿を現す。ラーマ、クリシュナ、仏陀などはその化身(仏陀はヴィシュヌ神の9番目の化身とされる)。配偶神はラクシュミー、乗物は、ガルーダ
ラクシュミー(Lakshmi)
ラクシュミー(吉祥天、別名シュリー)も、 霊鳥ガルーダを乗物とした美と福徳の神で、マントラ 「オン マカリシエイ ソワカ」 を唱えれば、大金持ちになれる。……と言われている。胸の旋毛の卍は瑞兆の相とされ、法螺貝、チャクラ(車輪形の武器)などを帯びる。

シヴァ (Siva) =破壊神
破壊、恩恵、生殖、創造など多面的な性格を持つ。
旺盛な精力から生殖の象徴リンガの形で祀られる一方、瞑想に耽る禁欲の苦行者としても描かれる。
雄牛ナンディを乗り物とし、額に縦の第3の目、髻(もとどり)に三日月、身に髑髏の飾りを帯びる。
妃パールヴァティーは「ウマー」などとも呼ばれ、特に怒りの形相を備えたものは死の女神ドゥルガーと同一神格とされる。
息子ガネーシャは象の頭を持つ神で障害を取り除くと言われ、その乗り物は体に似合わずハツカネズミ。母パールヴァティーに創られたが、父シヴァが息子と知らずに首を刎ねたため、シヴァは北に向かって歩いて最初に出会ったものの首を持ち帰ると約束、それが象だったため、息子に象の頭をくっつけて生き返らせた、という神話がある。

ガネーシャ(gaNeza、Ganesh)
ヒンドゥー教では、シヴァとパールヴァティーの間に生まれた長男。ネズミを乗り物にしている。金運、商売繁盛、学問の神様としてバツグンの力をお持ちです……有名なマントラは、※Aum Shri Ganesha Namah ※Aum Gam Ganapati Namah (読ませよう)さぁ、一緒に唱えましょう。アウム ガン ガナパタイェー ナマハ!

叙事詩ラーマーヤナ
古代インドの叙事詩ラーマーヤナは、紀元前2世紀頃に編纂されたといわれ、サンスクリットが使われている。同じく古代ヒンドゥー教の叙事詩マハーバーラタや、ほぼ同時代と考えられる原始仏典とともに現代に至るまで世界中で読まれているのは、それらが素朴だが美しく力強い表現を持つからだろう。ラーマーヤナ王子とその妻シータが繰り広げる物語である。
悪魔王に誘拐されたシータをラーマがさまざまな魔物と戦い救い出すシヴァ神殿の回廊の外壁には、上部に入口から右回りで42枚のレリーフがあり、南隣のブラフマ神殿にも続きがある。北隣のヴィシュヌ神殿にはマハーバーラタの物語のレリーフが見られる。  私の好きなインドネシア(32枚掲載) 20までシヴァ 神殿、21からブラフマー神殿のレリーフです。

ラーマーヤナ物語
1.王都アヨーディヤーの王子ラーマは、后シーター、弟ラクシュマナともに、14年間、森に追放される。
2.森の中で、シーターは魔王ラーヴァナに誘拐され、魔都ランカーに幽閉される。
3.行方不明になったシーターをラクシュマナとともに探すラーマは、猿の王スグリーヴァと盟友となる。
4.スグリーヴァの家来ハヌマーンの活躍で、シーターの居所を突き止めたラーマは、猿の軍団を引き連れてランカーに攻撃をし
  かける。
5.激戦の末にラーヴァナを倒したラーマは、シーターを連れてアヨーディヤーへ凱旋する。




ナンディ堂、下部 ナンディ堂、中部 ナンディ堂、上部
ナンディ堂 ナンディ堂 ナンディ堂
ナンディ堂、ナンディ ナンディ堂、ナンディ
ナンディ堂 ナンディ堂
ナンディ堂 ナンディ堂 ナンディ堂
ナンディ堂 ガルーダ堂 ガルーダ堂
ガルーダ堂 ガルーダ堂 ハンサ堂
ガルーダ堂、奥はハンサ堂 シヴァ神殿
ナンディ堂、右奥はシヴァ神殿 北出口から見た、ジョグラン寺院
ロロ・ジョグラン/インドネシア専科より転載 ロロ・ジョングラン(痩身の乙女)
この遺跡全体の別名(Candi Loro Jonggran)になっている象徴的な像 (シヴァ神の祭壇の北正面に安置され、水牛を踏みつけている)。
伝説では、ある王から求婚を申し込まれた乙女が、それを断るために一晩で1000の寺院を建てるよう無理難題をふっかけ、そのことがもとで求婚者である王の怒りを買い、魔法でこの石像に姿を変えられてしまったのだそうです。詳細

左写真、2006年ジャワ島中部地震後シヴァ神殿内を参拝出来ない状態が続いているため、インドネシア専科から写真をお借りしました。
inserted by FC2 system