カラサン寺院 (candi Kalasan)

ダルマトゥンガ王(シャイレーンドラ朝、ボロブドゥールを建設)が、プランバナンの西南西2kmにあるプランバナン渓谷のカラサンに建てたチャンディ・スヴーを中心とする240の付属寺院からなる複合建築、シャイレーンドラ朝没落(9世紀前半)後、改築が重ねられ、現在の形になったのは9世紀半ばと言われる。
現存しているのは十字型平面の主堂のみですが、周囲には主堂を囲繞するように52基の小ストゥーパの基礎の跡が残っており、多数の出土品もあるため、大コンプレックスを形成していたと考えられます。この小ストゥーパは寺院の僧侶たちの墳墓だったと考えられています。
主堂は、基壇が1辺34mで四隅に2段の几帳面が取られており、東正面にカーラ・マカラの装飾のあるS字型翼壁の階段が突出しているもので、基壇上部の縁には一部欄楯が残っており、身舎との間に回廊を形成していたと思われます。身舎は1辺14.2mで各面中央が3.55m突出して十字型平面になっていますが、正面、北面、西面の突出部はほぼ崩壊しています。正面以外の3方の突出部は外側に開いた側室になっちて、その内側の左右壁面には壁龕が設けられており、突き当たりには仏像が祀られていました。
正面にはカーラ・マカラに縁取られた入口があり、その左右には守護神像を祀る小さな壁龕があります。また各面突出部の左右にも仏像が祀られていたと思われる壁龕が設けられています。外壁には厚く漆喰が塗られ、そこに装飾が施されていました。
前室の内部の壁には左右に3つずつ壁龕があり、主室にも仏像が祀られていたと思われる台座と壁龕があります。主室の天井は八角形の迫出し積みで、屋蓋は一部復元されていますが、構成が複雑な完全な復元は不可能とされています。各壁龕や室にはブロンズ製の仏像が祀られていたとされますが、それらは全て消失しています。

inserted by FC2 system