北極圏対独海戦1944  1:30:29
劇場未公開の旧ソ連映画。邦画タイトルがややいかめしい印象を与えるが、バリバリの戦記物というよりは、ヒューマンドラマ仕立ての軟派系映画。タイトル通り、1944年頃のソ連軍飛行隊の対独艦隊戦を描いたもので、決死の対艦船、対潜水艦戦の中での将兵の恋愛、人情シーンを多分に織り交ぜたものとなっている。かなり叙情的な映像と音楽が印象的だ。従って、旧ソ連が誇る「ヨーロッパの解放」などのような「芸術記録映画」の流れは汲んでおらず、西側アクション映画に毒された感がある。とはいえ、旧ソ連が所有する実写フィルムや航空機を駆使した映像は、西側映画にはない新鮮さがあり、それだけでも楽しめる。メインはイリューシンIl-4T爆撃機で、地上駐機から滑走までは実機らしい。また、ベリエフMBR-2bis飛行艇も何度も登場。氷上の滑走路で活躍している様がよくわかる。この他、駐機している航空機として遠目で判然としないが、スホーイSu-2爆撃機やヤコブレフYak-1戦闘機らしき姿が見える。また、エンドロールでは、Yak-9戦闘機の実写飛行シーンが出てくる。北極海に面した極寒の地だけあって、凍結地での航空機の運用や暖め方などは見物である。これだけで、見る価値は十分あるといえよう。

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