勝手にしやがれ(1959) 監督:ジャン・リュック・ゴダール  1:30:05
ミシェル(ジャン・ポール・ベルモンド)は自動車泥棒の常習犯。今日もマルセイユでかっぱらった車を飛ばしパリに向った。ところが途中で追いかけられた白バイの警官を射殺してしまう。パリに戻ったミシェルは、顔見知りの女から金を盗んで街に出た。旅行案内所のアントニオの所へ約束の金を取りに行く。が、渡されたのは小切手、現金はベリユッティという男が代えてくれるという。刑事が彼を尾行しはじめた。うまくまいた彼はパトリシア(ジーン・セバーグ)の許へ。彼女はヘラルド・トリビューンの新聞売子でアメリカ娘の留学生。二人は南仏の海岸で知合い、他人同士ではなくなった。パトリシアは彼の誘いを断って、街にデートに出かける。ふてくされた彼は彼女のアパートに泊り込む。翌朝、パトリシアはミシェルと部屋でしばしの時を過す……。彼女は飛行場へインタビューに、彼は街で盗んだ車をポンコツ屋に持って行く。素性がばれて、ミシェルはそこの親爺をなぐって逃げ出した。社に戻ったパトリシアのところへ刑事が来て、彼の居所を知らせろといった。尾行をまいたパトリシアは、ミシェルと二人でモンマルトルへ。ようやく酒場でベリユッテイをみつける。金は明日出来るという。その晩、二人はベリユッティの友達のところに泊った。ミシェルは金が出来たら外国に行こうという。彼女はうなずく。しかし、翌朝彼女の気持は変った。彼女の一番欲しいものは自由。新聞を買いにいったついでに、パトリシアは警察に密告した。旅仕度をしているミシェルに“あと十分で警察が来るわよ"という。が、彼の心にはむなしい自嘲と絶望がひろがっただけ。金を持って来たベリユッティは彼に逃亡をすすめる。ミシェルは“疲れた"という。背後から射たれたミシェルはよろめきながら道路を歩く。馳けつけたパトリシアに、倒れた彼は、“お前は最低だ"とつぶやいた。


自動車泥棒ミシェルは警官に追われパリに逃げてきた。彼はアメリカ人の恋人・パトリシアとの自由で束縛のない恋愛を心地よく思っている。そんな中、パトリシアはミシェルが警官を殺していたことを知り、迷った挙句、警察に密告すると同時にミシェルに密告したことを告げる。結局、最後にミシェルはパトリシアの目前で警察に撃たれて死んでいく。『俺は最低だ』とつぶやき息絶えるミシェル。それに対して『最低って、なんのこと?』とパトリシア…。
ジャン=リュック・ゴダールの長編第1作にして、映画史に残る不朽の名作。ゴダール独特の詩的センスに溢れたセリフの数々が全編に散りばめられ、その斬新な作風は、既成のフランス映画の概念、ひいては映画製作の常識をも覆した。まさにヌーヴェル・ヴァーグの決定打と呼ぶにふさわしい作品である。原案はフランソワ・トリュフォー。

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